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東京地方裁判所 平成6年(特わ)343号 判決 1994年10月24日

本籍

京都市右京区花園寺ノ中町二番地

住居

東京都墨田区緑四丁目八番五号

不動産売買仲介業

富家あゆ美

昭和二四年八月二六日生

主文

被告人を懲役一年及び罰金一二〇〇万円に処する。

この罰金を全額納めることができないときは、二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用と被告人の負担とする。

理由

(犯罪事実)

被告人は、東京都中央区日本橋浜町二丁目四五番一号(平成三年六月二日以前は同区日本橋浜町一丁目一〇番五号、平成二年一二月一六日以前は同都港区虎ノ門五丁目三番一三号)に本店を置き、不動産の売買及び仲介等を目的とする資本金二〇〇〇万円の株式会社である株式会社ウエルス・インターナショナル(平成四年二月六日解散、現在清算中)の代表取締役(同日以降は清算人)としてその業務全体を統括していた。被告人は、同社の業務に関し、その法人税を免れようと考え、売上げを除外するなどの方法により所得を隠して、

第一  平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における同社の実際の所得金額が二億二九八六万七七一七円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、同年一一月三〇日、同都港区芝五丁目八番一号にある所轄の芝税務署において、税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額がないという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額九一〇六万〇九〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れた。

第二  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における同社の実際の所得金額が三五七二万五九二九円であった(別紙3修正損益計算書参照)のに、同年一二月二日、同都中央区日本橋堀留町二丁目六番九号にある所轄の日本橋税務署において、税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額がないという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額一二六一万三二〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

(注)括弧内の算用数字は、押収番号を除き、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

全事実について

1  被告人の

<1>  公判供述

<2>  検察官調書八通

2  吉川雅敏、亀梨伸夫、早川幸夫及び瀬戸郁穂(二通)の各検察官調書

3  大蔵事務官作成の売上高調査書、外注費調査書、支払手数料調査書、株式売買損益調査書、支払利息割引料調査書及び繰越欠損金控除額調査書

4  検察事務官作成の捜査報告書(甲8、16)

5  商業登記簿謄本

第一の事実について

6  原田繁及び威徳和久の各検察官調書

7  大蔵事務官作成の租税公課調査書

8  検察事務官作成の電話聴取書(甲26)

9  法人税確定申告書一袋(平成六年押第一一四三号の1)

第二の事実について

10  大蔵事務官作成の仕入高調査書、期末棚卸高調査書、受取家賃調査書、受取オプション料調査書、固定資産売却損調査書及び事業税認定損調査書

11  検察事務官作成の電話聴取書(甲25)

12  法人税確定申告書一袋(同押号の2)

(法令の適用)

罰条 いずれも法人税法一五九条一項(第一の行為の罰金刑の寡額について、更に平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項、刑法六条、一〇条)、法人税法一五九条二項(情状による)

刑種の選択 いずれも懲役刑と罰金刑を併科

併合罪の処理 刑法四五条前段

懲役刑について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の重い第一の罪の刑に加重)

罰金刑について 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予

懲役刑について 刑法二五条一項

訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文

(出席した検察官加藤昭、弁護人山田秀雄、安富潔、松原健滋)

(裁判官 朝山芳史)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙2

脱税額計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙4

脱税額計算書

<省略>

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